天皇はY遺伝子を持つ男系でなければならないのか?

天皇家の問題は今後の日本国の行く末を左右する大問題となっています。天皇を継承する資格を持つのは男性皇族のみというのが皇室典範の規定です。今の皇室には悠仁様しか若い皇族がいないので、このままでは天皇家が存続することがほぼ不可能という現実に直面しています。そこで女性皇族の子孫も天皇となる資格をあたえようという考えや、旧皇族の方々に皇族復帰していただこうとの提案がなされています。どちらが良いについては、すでに活発な議論がなされていて、その議論そのものは大変良いっことだと思います。広く意見を集めて、それを踏まえて結論を出すというのが民主的手続きで、合意形成のやり方だからです。

 

さて、議論の中で Y遺伝子論というものが提出されています。これについては

問題があるので、議論の根拠にすることはできません。そのことについては、わからない人もいるようなので、ここで説明しておくことにします。

 

Y遺伝子とは男性のみ持っている遺伝子で、父から子に伝わります。女系天皇では父の天皇陛下のY遺伝子を継承することはできません。それで女系天皇は認められないという論理です。しかし、この論理は簡単に論破されます。なぜなら、天皇の男系の子孫は今の皇室、そして旧皇族だけでなく、源氏平家の子孫、そして、その他の天皇にならなかった天皇家の男子の子孫全員です。天皇と同じY遺伝子を持つ人の数は何万人、何十万人といういるわけで、そういう人々が天皇の後継者になれるという理屈になってしまいます。また、そういうY遺伝子を持つ人が女性皇族と結婚するなら、その人は天皇になれるし、その子孫も天皇になる資格を持つことになります。こういう論理が成り立つはずはありません。

 

天皇家をどうするかについて国民的議論をすることは良いことですが、Y遺伝子論だけはまったく成り立たない論理ですから、これを使っての議論はやめるべきではないでしょうか。