新共同訳・ダニエル書11:19に誤訳発見

新共同訳ダニエル書11:19に誤訳があるとの指摘を受けましたので、ご報告いたします。

ヘブル語も一応チェックしましたが、あまりよくわからないので、他の日本語訳と英語訳を比較して誤訳だと判断しました。

新共同訳では「この軍人は自国の城塞に帰るが、そこで失墜し、倒れて消え失せる。」となっています。
口語訳では「こうして彼は、その顔を自分の国の要害に向けるが、・・・」となっています。
新改訳では「それで、彼は自分の国のとりでに引き返して行くが、・・・」とあります。
AV (KingJames)では「Then he shall turn his face toward the fort of his own land」とあります。

新共同訳だけは「軍人」となっているのに対し、他の訳はみな「彼」となっています。この「彼」が「軍人」のことを指しているなら、別に問題はないのですが・・・、前後を読むと判るのですが、ここは「軍人」のことではなく、「北の王」のことを指しています。
(関心のある人は、自分でこの部分を読んでみてください。)

新共同訳では、「彼」を解釈して、親切にも意訳したのですが、単なる勘違いで「北の王」とすべきところを「軍人」としてしまったようです。

これほどあからさまな誤訳ではありませんが、新共同訳には私の解釈とは別の立場から意訳している箇所が結構たくさんあります。こういうのって、あまり気分良くないですね。解釈が分かれるところは、意訳しないで、原文通りに訳してもらいたいものです。