新型コロナ第2波は来ない!

新型コロナ騒動が終わりを迎えつつあります。政府は5月14日に39県の緊急事態宣言を解除し、残りの都道府県もまもなく解除する運びとなっています。この時期、話題にすべきは、そもそも緊急事態宣言は必要だったのか?というテーマです。しかし、実際に議論されているのは「第2波が来る」という、またもや「狼が来る」レベルの話です。専門家も含めこれを批判する人はいないので、私が批判しておきます。

まずは雑談ですが、私が頼りにしている武田邦彦先生でさえ、「第2波に備えよ」と発言しています。第2波到来予測を批判するのは私だけなのでしょうか。ならば、ますます声を大にして言わなければなりません。

第2波が来ないとは、単なる願望ではなく、科学的分析に基づく推定です。私は科学者ではないので、過去の感染症のすべてを知っているわけではありません。単にネット上に載っていることを聞いただけの耳学問でしかありません。しかし、そのレベルでも推定の根拠となる事実はたくさんあるのです。それを紹介しますので、あとは専門家に検討していただきたいということです。

まずは、今現在話題になっている「第2波が来る」という予測の根拠となっているのは100年前のスペイン風邪です。このとき、第2波、第3波まできているので、今回も来るのではないかという予測になります。しかし、その程度のことを言うのが学問でしょうか。素人でも言えることです。これを主張している専門家はたくさんいます。中には素人の方もいます。磯田さんという学者は、感染症については専門家ではありませんが文芸誌に「第2波が来る」という予測を発表しています。根拠としているのはスペイン風邪のことだけです。ひどい論理です。しかし、彼が第2波を心配するのは何ら差し支えないし、それを公表することは自由です。なぜなら、彼は素人だからです。言論の自由は最大限尊重されなければなりません。ですから、たとえ間違っていても自由に発言することは許さなければなりません。

私も素人なので大胆に発言できるのですが、私のほうが論理的です。つまり、今回の新型コロナはインフルエンザではないという事実から始まります。たしかに症状の一部と感染の広がり方が似ているところはあります。しかし、そのウイルスの実態や、名称そのものもインフルエンザとは異なる病気であることを示しています。この病気は、サーズやマーズと同じ肺炎感染症なのです。

この事実は、感染症学者によって明言されていませんが、なぜなのかわかりません。間違っているなら指摘してもらいたいのですが、症状がサーズと同じであることは明らかです。

肺炎感染症をインフルエンザとして分析することは正しいのでしょうか。感染症対策を立てるには、過去の肺炎感染症がどのように広がり、どのように終息したかを分析しなければなりません。そして、そのとき、第2波が来たのか?というと、来てないのです。なぜ来なかったかは、私は知りません。しかし、1年後にきてはいません。ならば、今回の新型コロナも第2波は来ないと予測するのが当然ではないでしょうか。

第2波が来るかどうかは、インフルエンザ以外の感染症でどうなっているかを検討すればわかります。肺炎感染症の場合第2波はないのですが、一般の肺炎には流行という概念そのものがありません。ですから、第2波もありません。天然痘の場合、記録上、何度もはやっていますが、第2波という言葉を聞いたことがありません。赤痢結核、エボラ・・・、どれを取っても第2波という概念がありません。唯一、ペストについて第2波という用語を見たことがあります。13世紀にはやったペストの第2波が14世紀におきているというものです。しかし、それは100年後の話です。1年後に起きる第2波というのはありません。

インフルエンザに関しても第2波がないことは知られているのでしょうか。インフルエンザは毎年起きる病気ですから、第2波はありません。しかも、インフルエンザの種類分けした分析では、A型がはやった次の年に必ずA型がはやるとは考えられていません。むしろ、B型とか、別の種類のインフルエンザがはやるです。第2波は来ていません。2009年の新型インフルエンザの場合、流行そのものが2010年まで続いています。これを第1波とすると、第2波はいつ来たのでしょうか。来ていないのです。

これだけ第2波が来ない事例が多いのに、なぜ新型コロナだけが第2波が来ると考えるのでしょうか。そもそも、スペイン風邪と新型コロナは感染症の種類が違います。

「第2波が来る」という予測の最大の問題は、最大の危険を想定して対処すべきという危機管理学の考え方です。感染症学者は、新型コロナを安易にインフルエンザとして対処して、間違いを犯したのですが、それを国家レベルの危機にしてしまったのは危機管理の考え方です。危機管理の専門家の責任は非常に大きいといえるでしょう。

「最大の危険」と言う場合、最大のレベルを挙げてゆくことはいくらでも可能です。飛行機の場合は「落ちる」ので、そこであらゆる事故を想定して、酸素マスク、緊急脱出スライドなど、あらゆるものを用意し、最大限の安全を図っています。それもこれも最大の危険を想定しているからです。そういう意味で「最大の危険」への対策という考えは有効であり、大切です。しかし、「隕石が落ちてきて、それに当たって墜落する危険もある」という暴論も理屈としては可能です。「最大の危険」を過度に適用すると何も出来なくなります。つまり、「最大の危険」論を振りかざすことが「最大の危険」なのです。

危機管理とは、最大の危険を想定しつつ、現実の中で最適な対処をすることであって、危険を怖がり、逃げ惑うことではないのです。危機管理の専門家はその程度のことは判っているはずです。ならば、今回の新型コロナ騒動の「最大の危険」論という危険性を指摘することこそ、危機管理学者が言うべきことだったのではないでしょうか。危機管理学者の誰も発言しなかったことはとても残念なことです。

「新型コロナの第2波が来る」という予想に対して、「最大の危険」論で対処することは間違っています。第2波が来ないことはほぼ間違いありません。しかし、来たときを想定して対処策を立てておくことは必要です。危機管理とはそういうことなのです。もう一度いいますが、来ないことが予想されます。しかし、対策は必要だということです。

来ない確立はかなり高いので、「第2波の到来」を報道することは意味がないどころか、危険でさえあります。無意味は不安心理を煽ってはなりません。ですから、まずは「第2波は来ない」と発言すべきです。その上で、新しい対処策を作らなければなりません。

対処策が必要なのは、皮肉にも、今回の新型コロナ対策と緊急事態宣言がまったく失敗だったからです。今回のやり方では良くない。だから新しい対策を検討しなければならないのです。これについては、今回の新型コロナ騒動の反省を踏まえてなされるべきものなので、項を改めて述べることにします。