新型コロナ対策・全国一律という発想は変えるべき

今月発売の月刊誌Will・9月号に「第二波はこない」という記事が載っていました。まだ7月なのに、9月号とは異常ですが、「9月1日発行」となっています。事実と違う日付をしていることは問題ですが、・・・それはそれとして、・・・私と似たような主張が雑誌に載るとは、マスコミの変りの身の早さに驚かされます。しかし、良い方向に変わるのですから、良いことだと思います。

 

ただし、内容が私と同じということではありません。この評論は対談形式になっていますが、内実は京都大学教授・上久保先生の主張をまとめたもので、「すでに集団免疫ができているので、これ以上の感染拡大はない」という結論です。なるほどと思える結論ですが、だからと言って、納得にたる根拠が示されているわけではなく、そういう考えもありえるという程度のものです。もちろん、その程度でも素晴らしい評論と評価できます・・・が、他の可能性も残っているので、まだまだ検討は必要です。

 

私の主張の原点は「新型コロナはインフルエンザではない」ということです。肺炎感染症です。ですから、サーズやマーズがどのように感染するのか、そして、それの防止策を参考にして、新型コロナへの対策を練らなければならないということです。現在の対策は、過去の感染症全般を参考にして、新型コロナに特化していない対策をとっています。その理由は「新型なので、よくわからない」ということなのですが、最初の患者発生からすでに半年以上たっています。いまだに「新型」という言い訳を使うことは許されるのでしょうか。このウィルスがどのようにして他者に移り、発病させるかのメカニズムが明らかになっていなければなりません。ところがいまだに「マスク着用」、「三密を避けよう」という程度の対策だけで、具体的・有用な対策になっていません。

 

「第2波は来ない」という予測は正しいと思いますが、「来ないから安心だ」ではなく、新型コロナについての研究、対策についての検討は相変わらず必要な状況にあります。

 

そこで、今回の日記では、今までの対策における基本的間違いについて指摘しておきたいと思います。「ステイホーム」、「三密を避ける」、「外出自粛」、これらの提言において、まったく欠けているのは、「誰が守るのか?」という視点です。東京都民だけなのか? 日本国民全員なのか? という点です。「語られた状況で、誰が守るべきものか明らか」という意見もあるでしょう。また、「不用不急の」という但し書きが付いているので「問題ない」と感じる人もいるでしょう。しかし、東京都に属する小笠原諸島の方々も「外出自粛」なのでしょうか。もちろん、そうではないはずです。では、奥多摩は? 感染者の出てない都下の地域は? と問いかけることができます。

 

緊急事態宣言も同じです。なぜ、感染者の少ない県まで宣言下に置かれるのか? という問題があります。それに対して「感染爆発はどの地域でも起こりうることで、警戒するのは早いほうが良い」という意見があります。しかし、度を越えた警戒は自分の首をしめることになります。「交通事故が怖いから外出しない」とか、「飛行機は落ちるから乗らない」というのと同じです。オーバーリアクトは逆効果なのです。

 

ですから、今後の対策として心がけるべきことは、地域を限定することです。23区内とか、何々区とか。ベストな言い方は、「その町内では」という範囲で対策をとるべきです。範囲を広げたことが、今回の混乱の原因となったことは認識しなければなりません。「ある学校でひとりのインフルエンザの子供がいたので、全国の学校を閉鎖する」ことがいかに愚かであるかわかると思います。同じことを今回のコロナ騒動でやってしまったのです。頭を抱えるほどの失敗であったことは記録に残さなければなりません。

 

しかし、嘆いていては先に進めません。また、誰が悪いとか責任追及しても仕方ありません。また、問題が終わったわけではないので、今は、新型コロナの実態を研究することに力を注ぐことです。飛沫感染とするなら、なぜ飛沫を浴びた人の中で、感染する人と、しない人がいるのか? という点の研究はぜひとも必要です。また、飛沫を浴びてないのに感染する人がいるのはなぜか? という点の研究も必要です。免疫をすでに持っている人がいるなら、どのくらいの数の人が持っているのか? という研究も必要です。そういう研究もしないで、「ステイホーム」と叫ぶだけでは、あまりにも悲しいではありませんか。

 

また、発症もしてないのに、感染していると判定して隔離するのも腑に落ちません。専門家はどう考えているのでしょうか。普通の考え方では、インフルエンザに感染しても、自己免疫でウィルスを撃退すると、ウィルスが外に出て他人に感染させるほどの数にはなりません。新型コロナは例外なのでしょか? 今回の騒動で、専門家に対する信頼はかなり低下しています。あてにならない発言が多すぎます。しかし、専門家以外、感染症研究をする人はいませんから、専門家の方々には、これから発奮して、新型コロナの実態を研究して、蔓延を速やかに終わらせていただけるように頑張っていただきたいと思います。