42万人死亡説を唱える西浦教授に反論する

42万人死亡説を唱える西浦教授に反論する

2020/04/16の厚労省の発表によると、西浦教授の推計では、コロナにより「対策がないと42万人死亡」という報道がなされています。「現状の制限では不充分で大変危険」とも書かれています。この数字は一見して異常ですが、考えるとすぐにおかしいとわかります。この推計に対する反論があるのではと思って探して見ると、ちらほら見つかりましたが、専門家の方々はどう思っているのでしょうか。西浦教授は厚生労働省クラスター対策班に所属している専門家です。その方がこのような発言をするのは問題なのですが、しかし、本当の問題はこの発言そのものではありません。この発言に対する専門家からの反論が少ないことです。

いろいろな意見が公表されることはとても良いことです。この西浦教授がいち市民として発言されるなら、それなりに面白いと言えます。しかし、政府の専門家会議の一員として発言するということは非常に重みのある意見です。それは単なる一個人ではなく、政府見解ということになります。ならば、他の専門家は反論しなければなりません。素人の反論では足りないのです。専門家、しかも、その委員会なり、対策班の他のメンバーからの反論が必要です。もしくは、他の病院関係者などの権威ある人からの反論が必要です。それがないとするなら、この発言の責任はすべての感染症関係専門家全体の責任となります。

42万人死亡の根拠は何か?「ひとりの感染者が平均してうつす人数を 2.5 と仮定した」これが計算の根拠ということのようです。そして、「これをもとにして重篤患者数は、15から64歳が20万1301人、65歳以上の高齢者が652066人で、計85万3367人となった。」と書かれています。この計算の式は何なのでしょうか。

この推計はまったく非論理的です。2.5 人にうつすとすると、うつった最初は 1+2.5=3.5 で、3.5 人となります。次にこれらの人が 2.5 人にうつすと 3.5+3.5*2.5=12.25 、次が 12.25+12.25*2.5=42.875、次が 150.0625。これを次々と計算して10回繰り返すと 965491人になります。この数は鼠算式に増えてゆくので巨大数になります。85万人とは、どこかで計算を打ち切ったということですが、どこで討ち入るのか、なぜそこで打ち切るのかの説明がありません。その他、おかしなところばかりなのですが、もしかすると「長々と説明すると煩雑になるので、結論だけを発表した」ということかもしれません。しかし、これだけの重要な情報を公表するなら、正確な計算式もあわせて公表するのが当然です。そして、結論から言うなら、おそらく計算打ち切りの根拠はないだろうと思います。なぜなら、最初の 2.5人 という数字が仮定だからです。通常の感染症では、当初患者数が急激に増加し、途中でストップし、やがて下降に転じます。どこで山の頂点となるのですが、その時期はそれぞれの感染症で異なります。今回の新型コロナは、新型なので過去の事例がなく、すべて推定を使わざるを得ません。ですから、増加の山を決めるのも学者の好みによるのです。最初の 2.5 も仮定ですが、計算を打ち切るのも推定です。その結果の数字にどれほどの価値があるというのでしょうか。

本当の問題は、このような作業がコロナ対策の根拠として使われていることです。「外出を8割削減すると一ヵ月後に収束する」という計算は、上記の推定と同じレベルの計算です。すべて仮定と推定で行ったもので、8割も、1ヶ月も根拠がありません。「6割だと2ヶ月に伸びる」という発言も仮定と推定の上の数字でしかありません。このようないい加減な数字をもとに、緊急事態宣言が出されるというのは大問題ではないでしょうか。専門家からの反論はなく、マスコミは深く考えずにこの政府発表をそのまま垂れ流ししています。ほとんどの国民は外出を遠慮し、コロナ収束を祈っていますが、ここまで国民を追い詰めた責任は政府にあるだけではありません。一番の責任は専門家たちです。彼らが怠慢だからこういう結果になったのです。もちろん、政府にも重大な責任があります。そして、さらにマスコミにもあります。そして、最後に、国民にも責任があることは言っておかなければなりません。躍らせた側の責任と、それを真に受けて踊ってしまった側の責任です。

まだコロナ騒動の渦中なので、反省する時期ではありませんが、騒動が治まった後、非難・罵倒する責任追及ではなく、二度と同じことが起きないようにするための責任追及、原因追及が必要になっています。